特売開始からあっという間に2日が過ぎ、
仲間たち皆くたくたで迎えた3日目最終日。
お昼を過ぎた頃に一人のお客さんが
「兄ちゃん、この魚包んでくれない?」とteddyに声をかけます。
「はい毎度!」の言葉がいつもより端切れが悪く、店内に漂う妙な空気。
その直後、そのお客さん達がteddyに向かって
「元気だったか?楽しそうにやってるじゃん」と、そして「おい!見つけたぞ~!」と他の仲間に向かって呼びかける声。
その声を聞きつけ、店長を始め数人が慌てて
「お客さん、どうしました?うちの店員が何かしましたか?」と
駆け込んで来ました。
teddyはすまなさそうに伝えます。
「すみません店長、私の会社の上司達です。」と。
その次の瞬間、店長から出た言葉は今でも忘れられません。
「あ~!会社の方でしたか?お世話になっております。いや~いい社員をお持ちでさすがですね。うちも大変助かってまして、ついつい無理にひき止めちゃってすみません。
いきさつなどは聞きましたが、非常にいい若者なんでね。
こんな社員さんならどこも離しませんわなぁ〜、きっと上司の方の指導がいいからなんですね。ここではなんですので、狭くて汚いですがどうぞ2階へ」と促してくれ、
teddy、店長、おばちゃん、
それに会社の上司達と2階で話し合いの場を持つことに。
上司から事のいきさつを確認した上で、
今後の事を考えたいという趣旨の話の後、
店長が切り出しました。
「我々は魚屋。生きのいい、威勢だけで生きています。曲がったしゃべりができないので、失礼な事を言ってしまったら申し訳ない。
teddyを探し出し、会社に来ない理由次第では連れ戻そうという訳で来られたんですね」
価格:2,980円 |
その時、2階の襖がカタカタ鳴ったと思ったら、店長がいきなり
「おい、おまえら!コソコソ人の話を聞くんじゃない」と一喝。
なんと襖の後ろには、大柄の男達、強面のおじさん3人が。どうやらteddyのことが心配で、いてもたってもいられなかったようなのです。結局その3人も話に参加することに。
そして、上司はこう続けます。
「お前大事にされているじゃないか、よかったなあ。店長さんがおっしゃる通り、君を連れ戻そうと探しに来たのは事実。なんでこんな事になってしまったのかを知りたい」との言葉に、
店長は
「こんな若造の為にわざわざここまで探しにきたとは。確かにこの若造、仕事は真剣だし人柄もいいです。すぐに人の輪の中に溶け込んで一緒にいても仲間達から可愛がられます。
でもこんな若造ひとりのことでここまで…
他に何か理由があるのなら聞かせてもらえませんか?」と聞き返してくれました。
事の発端は、ある取引先とのトラブル。
以前その取引先を担当していたのはteddy。
実直で真面目なteddyが担当していた頃は、得意先のトラブルまで解決し、問題が発生しても解決までコツコツ対応していたのですが、teddyが休み引き継いだ直属の上司ときたら
返事はいいけれど仕事も対応も全てにいい加減で、挙句の果てにteddyに責任を押し付けるなんて対応をしたばっかりに、最終的に得意先を怒らせてしまったとのこと。
そこで休んでいる理由を確認するとともに、teddyを連れ戻しにきたというのが理由でした。
価格:3,560円 |
あまりに長い沈黙が続き、口火を切ってくれたのは強面のおじさん。
「まぁいいじゃないか、坊主もまだまだ世間知らず。会社をずる休みして家出して、家出先でアルバイトまでして俺達とも仲良くなって。
それもこれも全て真面目にやってる坊主の人間性。人間、真面目にやってれば必ず認められる。くさっちゃいけねえし、くさってねえし、なあ坊主、ありがたく帰んな。
また気にいらなかったらいつでも逃げてこい。」
その温かさに溢れた言葉に、思わず号泣してしまったteddy。
店長も「そうだそうだ、そうしな」と。
おばちゃんにも、
「おばちゃんね、最初見た時からなんかほっとけない可愛い子だなって思っとったんよ。
さあさあ、泣いてないで。
おばちゃんも楽しかったよ、明日にでも帰んなね」と言ってもらい、涙が止まらない。
まだ下を向いてぐずぐず泣いているteddyに店長の兄弟が、
「何甘ったれてるんだ、みんなお前の事を心配してくれて、会社の人もわざわざこんなとこまで連れ戻しにきてくれたんだ…
”わかりました、心配をおかけして申し訳ありません”とか、”ありがとう”とかなんか言えって」と肩を叩きながら声を掛けます。
自分のために色々考えて発してくれたみんなの言葉がありがたく、少しは大人にならないとと反省し応じたteddy。
上司達はその後、
「じゃあ、ちゃんと気を付けて帰ってこいよ」と言い残しお店を後にしました。
突然、明日帰る事が決まったその日の夜。
急遽、送別会を開いてもらい、夜中まで皆と酒を飲み交わしました。
「みんな、いい人だなあ」
teddyはしみじみ、こんな大人たちになりたいなと思うのでした。
翌朝は、おばちゃんがまるで自分の子供を送り出すように、持ちきれないくらいの沢山の海産物をダンボール箱に詰めて、
「いいの、いいの持っていき!
支度ができたら朝ごはんをみんなで食べて、気をつけて帰っていくんだよ」と
いつもの愛嬌ある笑顔で送り出してくれました。
車のエンジンを掛け、商店街を抜け
高速道路のインターチェンジを通過していくと日常に戻っていく。
でも、なんだかそれが物凄く新鮮で、今までとは違った風景に見えた記憶が今でも時々蘇ってきます。
人生色々な事が起こりますが、
『まっすぐ直球で、やると決めたらやる』
これは若い頃から変わっていません。
おかげさまで、今もこうしてCraft工房のメンバーに囲まれて生きていられます。
少しは大人になれたかもと安心すると
すぐにわがままを言い出すというところはなかなか変われていないですが^^;
このひと夏の家出経験は、今のteddyを語る上で欠かせない大切な思い出の一つとなっています。
あの時、暖かく迎え入れてくれた大人達に近づけているかな?
そう時々自分自身を振り返りながら、今日もteddyは直球で前に進んでいくのです。
今日のつぶやき
夏の宿題が、なかなか片付かず、むしろたまる一方な今日この頃。暑さのせいか根気も続かず…。
今日のお昼は久しぶりにスガキヤラーメンです。
出先で、お昼の時間が取れない日はどうしてもラーメンやコンビニのおにぎりで簡単に済ませてしまうことがありますよね。
飲み物だけだよっていう方もいらっしゃるかもしれません。
朝ごはんも食べずに、珈琲1杯。
気づけばお昼食べたかな?という生活…していませんか?
夏になると、暑さから面倒になり食生活も乱雑になってしまいがち。気を付けたいものですね。
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