初アルバイトを無事に成し遂げて達成感に包まれるteddy。
バイトに夢中になっていましたが、実際はまだ会社へは連絡もせず、ずる休みの身。
重い気持ちを引きずりながら
公衆電話で会社へダイヤルをしますが、最初に切り出す言葉が見つかりません。
「はい！〇〇会社です。」
「もしもし、、〇〇です、、」
なんとか名乗ったもの
次の言葉は出ず、、
息をのみながら、震えた手で受話器を握り耳を澄ますと、
「おい、お前今日どうした？
今何時だと思ってんだ？
ふざけてるのか！
今日やるっていった案件
ど～するんだ！」
自分が悪いのは重々承知していましたが、話も聞かずこの調子の上司に段々悲しくなり、
毎日この調子で責め立てられたらたまったものじゃない…と、
若かったteddyにはそんな自分勝手な思いがこみ上げてきました。
ひとかけら心の中に残った理性でなんとか一言だけ発して
受話器を置きます。
「疲れてしまったので暫く休みます、また連絡します。」
深いため息まじりに煙草に火をつけて電話ボックスから出ると、一台の軽トラが威勢よくクラクション音を響かせて近づいてきました。昨夜中華料理屋であった大柄な男達です。
「なんだ、女にでもふられたか？
もう帰りたくなったのか？
聞いたよ、家出してアルバイト料につられて入ったんだって⁉︎どうした？何か問題があるなら俺達が聞くぜ」
今まさに必要としていた声かけにつられて、teddyは一部始終を全て話してみました。
大柄の男達は、最初は冗談を挟みながら相槌を打っていましたが最後には、
「まだ若いんだし、この経験がこの先絶対どこかで役に立つよ。
今はいいじゃないか、そんなにくよくよするな。
今日だって、声張って真剣に魚売ってくれたじゃないか、
ありがとうな。
兄ちゃんがいたから、今日は完売した魚もあったんだぜ。
人生色んな事あるけど兄ちゃんみたいな男は好きだなあ～」
この言葉に救われて元気がでたteddy。
「よし明日もやってやる！」という気分が湧いてきました。
これをきっかけに、仕事終わりに男３人で珈琲を飲みにいくのがお決まりの日課に。
中華料理屋にも一緒に行ったこの大柄の男達は、店長の兄弟。
裏方で魚をさばいたり、まかないの準備をしてくれていた男達でした。
「兄ちゃん気に入られて良かったねぇ」と毎日おばちゃんから声をかけられる、
だってteddy用のまかないは大トロ丼なんて自分では食べれない様な高級品ものばかり、
ありがたい、、、、
３日程たった頃、バイト後いつものように3人で珈琲を飲んでいた時でした。
喫茶店のTVでは、『家出人の捜索』なんて内容のドキュメンタリーが流れ、
なんだか自分の事のように感じてTVを見ていると、
「兄ちゃんの事も放送されるんじゃないのか？」なんて冗談が飛び交います。
いやいや、そんな事はないとはいえ内心ひやひやのteddy。
帰り道で目に留まった電話ボックスに入り、実家に電話をしてみることに。
コールは短く、電話出たのはteddy父。
「お前、どこほっつき歩いてるんだ、会社から何回も連絡あったぞ、お前が悪いんだから、
いいから逃げずに会社へ連絡しろ。
元気なんだな？
男なら人生1度や2度そんな事はあるから、俺は詳しい事は聞かん」
自分も家出し漁船にのった経験があるからか、たいしたteddy父です。
この後、渋々会社へ連絡すると聞き慣れない声。
「お～元気か？
なんで会社こないんだ？」と。その声の持ち主は、
なんと朝礼で長い話をする会社のお偉いさん。
わぁ、、、ついにクビだ…
そう思ったのとは裏腹に、この日はたわいもない話となり、
話の流れから今いる場所もポロッと口をついてしまいましたが、最後にはまだ暫く休んでいてもいいとの事に。
そんな電話で妙な気分になったからか、その日見た夢がこれまた変な夢。なんと今のアルバイト先は、
実はteddyの勤める会社が経営していて家出どころか、その会社の仕事をしていたというもの。かなり寝ざめが悪かったです^^;
その後、仕事もかなり覚わり
素人の魚屋気どりで楽しくなってきた頃、店長から集合がかかります。
明日からの3連休の特売の準備で、今日は店を閉めたら飾り付けなどを皆でやるという指示。この飾り付けのワクワクした夜は今でも忘れません。
いつもはあの広い漁港センターに一人で夜を明かすのに、
今夜は店長、店長の兄弟などが泊まり、夜遅くまでお酒を飲みながら飾り付け。
午前1時にようやく完成し、みんなくたくたで雑魚寝で夜を明かしました。
朝方、愛嬌満点のおばちゃんが「遅くまでありがとうね～」と2階まで運んでくれた朝ご飯を平らげて「さあ、今日から3日間、売って売って売りまくるぞ」
そんな熱気に包まれて、本当楽しかったことを覚えています。
この3日間は魚が飛ぶように売れ、いつもの倍声を張り、
店を締めるころには、みんないつも以上にくたくた。
最高に楽しい3日間…のはずがその最終日に新たな出来事が起きるのです。
Teddyの運命はどうなるのでしょうか⁈
続く
今日のつぶやき
夏、真っ盛りですね。
今年も、夏真っ盛りと言える日も残すところ後数週間。
お盆を過ぎると、海の波も段々と高さを増し、日も少しづつ短くなってきます。
暑さも少しづつ和らいできますよね。
そんな時、teddyは少し寂しい気分になってしまいます。
「あ～あ、やり損ねちゃった」なんてことのないように、皆さんしっかりと今年の夏を満喫しましょうね。
そろそろ夏キャラバン始まります。
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